【-第45回-卓球は分かりづらい…。-後編-】


 チャパリータです。前回の続きです。前半は本誌70号、もしくは私のブログをご参照ください。


 卓球初心者、もしくはこれまで全く卓球に接する機会のなかった方々が集うイベントで、デモンストレーションを行う厚谷選手(信号器材)とはじめ(WRM元スタッフ)。ワンコース練習でミスなくテンポよくラリーを続ける二人に会場の視線が集まり、ドライブの引き合いに発展するとギャラリーからもおもわず声が漏れ聞こえてきます。長く続いたラリーが途絶えると、拍手喝采の大騒ぎ!! 私は手応えを感じつつ、二人にゲーム(なるべく続くようにお願い!)を要求。


 スタートは厚谷選手の切れたサーブから。はじめが丁寧にストップし、それを長く送る厚谷選手。誘われるかのようにドライブで返すはじめ。そのドライブを待っていたとばかりに得意のカットを披露する厚谷選手! 切れたカットを本能的にドライブするハジメ!! うむ、なかなかのドライブ! が、たやすく返す厚谷選手!! しかもそれゼッタイ爆切れやん!!!!! あえなく落としちゃうHAJIME!! んん―――、仕方ない!!!


 私は手応えアリの確信とともに「ワ―――!!!!」と独り声を上げます。ん? …私だけ? 思わず周りを見渡すと…


シーン。


 え? 見てなかった? 今の攻防? ねぇねぇ? さっきまでの盛り上がりは!???以後もゲームを続ける二人。二人の実力からして、なかなか見ごたえのあるラリーが繰り広げられているにも関わらず、台をとり囲んでいた大勢のギャラリーが次第に散り散りに…。


 こうした事態に何度か遭遇した末に導き出した答えが「卓球の“凄さ”って、圧倒的に分かりづらい」。ラリー中に複雑な回転が入ったとて、それをビギナーに感じ取れというのも酷な話で。。経験者からすれば信じられないことですが、「ドライブ=ん、遅いスマッシュ?」であり「カット=打ちやすそう! 遅いし?」という印象なのでしょう。レシーブミスなんてもってのほか。「なんでミスるの? 実はあんま上手くない?」なんて思われていたり…。


 といった“一般人目線”で卓球を分析すると、ボールを大きくしたりネットを高くしようとITTFが画策するワケも頷けます。その反面、条件反射で否定を露わにする競技者や愛好者ゆえの目線も当然あります。それぞれの立場や目線がもたらす、それぞれの真実というものがあるのでしょう。しかし改めて考えると、マジョリティを獲得してるスポーツって、凄さがとにかく分かりやすかったりしませんか? もちろん経験者や趣味人だけが感じ取り愉しみとする“その先”がきっとあるのでしょう。しかしホイッスル寸前のスーパーゴールやサヨナラ満塁ホームランなどなど、素人ですらその魅力を共感できる一面が必ず存在します。卓球には皆無だとは言いませんが…。


 こうした“分かりづらさ”が卓球興行における障壁の一つだと感じているのですが、同時にこれこそが卓球の凄さ、奥深さでもあるということも改めて思い知らされます。だって、経験しないと分からない魅力が大半を占めるなんて、そんな競技めっちゃカッコイイですよね? それも、私が卓球に対して最も熱い想いを寄せる部分「老若男女分け隔てなく勝負が成立する競技」の根幹が、このビギナーには見えない世界の中には多く存在しているわけです。


 結論としては、「卓球は分かりづらい」というのは変わらず、その分だけ奥深さを秘めた競技だということ。そしてプロスポーツとして成功させるのであれば、経験者側の目線だけでなく一般人の目線をもっともっと意識して欲しいと感じています。


 今年もご笑覧、誠にありがとうございました。来年も本誌TAKZiNEを何卒よろしくお願いいたします。