【-第47回-本来は正反対】


 チャパリータです。今回は「粒高の正しい認識」から始まり、各レベルごとの「用具選びの正しい方向性」を私なりに唱えてみたいと思います。


 まず最初に、皆さんが粒高に抱く印象ってどうですかね? 結構多いのが、このパターン。


「粒高は難しい…。私には到底使いこなせない…。」


 店舗での接客時、粒高初心者や未経験の方からよく聞く言葉です。私的に実はコレ、大間違いなのです。端的に言って、粒高をはじめとする異質ラバーの方が裏ソフトや表ソフトよりも圧倒的に“簡単”です。ではなぜ多くの人が難しい! と判断するのか? 理由はこの上なくシンプル。
「裏ソフトで卓球を始め、裏ソフトに慣れているから粒高は勝手が異なる」=「粒高は難しい」
ん~、なんと浅はかな…。


 誰が何と言おうと最も難しいラバーは裏ソフトです。根拠は“全てこなせる性能を持ち合わせているから”です。それゆえに私は究極的に難しいと判断しています。対して、粒や異質は裏ソフトに比べて再現可能なプレーに制限があります。つまり、“できること”が限られているのです。それは、粒高は裏ソフトに比べて最低限覚えなければならない技術の数が圧倒的に少ないことを意味します。なにより卓球という競技を構成する上でキモとなる「回転」に対して、真っ向から向き合う必要がありません。


 初・中・上級者問わず、それぞれのステージで常にハードルであり続ける回転という要素。それを回避できるというだけでも...。どうですか? ずいぶん簡単に思えてきませんか?


 そもそもですが、レベルが高いほど上級者が用具に求める性能は一貫して“丸み”を帯びてくるものです。突出した性能がない代わりに、穴もない。自身の技術次第で自在に再現可能な性能を持ち合わせた物、すなわち“何でもできる用具” “使いやすい用具” “特徴のない用具”という条件が並びます。現代卓球の主流たる“ウラウラシェードラ”に例えるならば、バランス型のドイツ系スピンテンション、ラケットは6mm弱の特殊素材入り5枚合板、もしくは7枚合板あたりでしょうか? もちろん好み・こだわりレベルの選択幅はあります。が、皆どれも枠から外れるような用具選びをしません。


 一般的に、上級者でなければ使いこなせないと思われがちな用具…例えば物凄く弾むラバーや、8mm前後あるような厚ラケ、またその逆でトコトン弾まないラバーやラケット等々...。これらの用具こそ、本来は初中級者のために存在する“ひみつ道具”というのが私の考え。これらは皆、尖った性能ゆえにトレードオフで欠けている性能があるのです。上級者が最も嫌う部分がココなのです。


 チョットややこしくなってきましたが、つまりはベーシックなラインを逸脱する特徴的な用具は、どれも基本的には初中級者(が使って初めて価値がある!)用だということ。その代表例が、粒高をはじめとする異質ラバーなのです。


 何でもできるフラット&ニュートラルな用具って、いわば“究極の上級者用”なんです。
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WRMが提唱する“本来”の初心者セット。本文で言うところの尖った性能の狙いとは、また少し目的が異なるけれど、使用状況(レベル、戦型、環境、その他諸々)と用具の性能をしっかりと把握した結果導き出した答え。