【-第48回-やさしい嘘】


 今宵は「店員として、お客様のクエスチョンに苦言を呈すシリーズ」リターンズにございます。苦言なんてあっさりストレートに言っちゃってますが、正直、辟易しています。それでも、ただの愚痴なら記事にはしません。ではなぜ書くのか? それは分かって欲しいからです。お客様に正しい認識を得てもらいたいが為です。


・その1「1.9mmって、厚くらい?」
 プラシーボォ!! プラシーボですよね? そう、プラシーボなんですよ。そう考えればあながち間違ってもいない気もしてきますが…。卓球はメンタルがモノを言う繊細なスポーツですので、この質問をする気持ち、される側の私だって、よーーーーーく分かってます。それでも、やっぱり呑み込めない。どうしても。だって…。


 ※『厚』=抽象的な表現
 ※『1.9mm』=具体的な数字



 1.9mmという“具体的”な表記を確認した上で「厚?」という“抽象的”な答えを欲するのは、宇宙広しといえども、おそらく卓人だけでしょう。


 そもそも本来、“薄・中・厚”の表現がオカシイのだ! という結論なんですよ。抽象的ゆえにメーカー毎に基準はマチマチ。数字で統一すればオールOK! のはずなんですけど…。


 ではなぜ一体、“薄・中・厚”等の表記が日本では浸透しているのか? それは、きっと、うん、きっとそう、メーカーの「やさしさ」が込められているはず…。だが結果としてそれは…。


・その2「木材合板と特殊素材入りってどっちがイイですか?」
 今回に関しては組合せ、プレースタイル、相性などなどの話ではないのであしからず。要は「木材合板」と「特殊素材」「5枚合板」と「7枚合板」等の超大雑把なジャンル同士の比較で質問されても、答えられるワケないですよ~ということ。仮にこの質問に答えられようものなら、この世にはわずか4種類程度のラケットしか存在しないことになります。


 現代の用具は細分化・複雑化が進み過ぎていて、“硬くて弾む5枚合板”もあれば“軟らかくて球を持つ特殊素材ラケット”もあります。つまり5枚合板も特殊素材も人生もイロイロなので、この手の質問の9割以上は意味のない空虚な“一方通行”に終わるものです。だって、コメとパンならコメが好き、だけど、不味いコメと美味しいパンならパン選ぶでしょ? ん? むしろ分かりにくい…!?


 5枚合板といえば両ハンドドライブのヨーロピアンスタイル! 薄ラケ一択だから!! 特殊素材ならゲルゲリー、クランパのハンガリアン・ラプソディ! 炭素繊維のぶっ飛びカーボンオンリーですから~!! …なんてのはせいぜい90年代前半までの話でしょう。よくもまぁ今の今まで斯様な“神話”が脈々と続いているものだと、逆に感心しちゃいます。


 5枚合板、7枚合板、特殊素材…、これらの要素はラケットを構成する上で重要なポイントなのは間違いありません。が、それ以上に自分としてはコマーシャリズムな決まり文句が強調され過ぎているように感じます(もはや思考停止状態、だから質問の質も低い…)。


 合板構成は狙った性能を実現する上での“手段”に過ぎません。使用している木材や特殊素材の種類もまたシカリ。なので、断片的なキーワードに踊らされることなく、これからはシンプルに「自分が欲している性能」で話をしてみませんか? 合板構成なんて、本来気にしなくて良い部分です。大事なのは実現している性能の方ですから。
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とは言うものの、「極薄」「特殊素材」という言葉はWRMでも良く用いてしまいます…。“伝わり易さ”を突き詰めると、売り手はそういう結果になる事が多いのも事実。魔のワード「相性」がその最たる例。私にとっては永遠のジレンマ。