【-第56回- 自身に見合った用具を使ってる人、ほぼいない説】


 チャパリータです。早いもんで今年もあと1ヵ月と少し。忙しさにかまけて何となくな毎日を過ごすことを省みては自己嫌悪に陥る。11月とは私にとってそんな時期です。本来であれば、もっと志高く規律をもって充実した日々を送りたいものです。


 今回も用具について話します。テーマは「自身に見合った用具を使ってる人、ほぼいない説」です。少々トゲのあるテーマですが、実際のところ、これって結構日常的に当たり前だったりもするのです。その辺を解説していきたいと思います。


 まず、自身に見合った用具を選べているケースとはどういった場合を指すのか? シンプルに、自身の技術レベル、プレースタイルを正しく把握し、それにマッチした性能のラケットとラバーを正しく選択できている人。当たり前の様でいて、実は至極難しいと感じています。


 正しい用具選びのための必須項目における、さしずめステップ1の「自己分析」。ここをクリアしている人がそもそも極めて少ないのです。続くステップ2は、やはり「用具知識」。これに関しては絶対的に用具への探究心が求められ、また多くの用具に触れる機会(経験値)を必要とします。一般の愛好家レベルで多種多様な用具を十分に試打できる環境などなかなか想像できるものではありません。


 いろいろと残念な「足りない自己分析」+「中途半端な用具知識」という状況で繰り出される結論は虚無感を孕んでいます。“このラケットとこのラバー、合いますか?”に代表されるトワイライトな質問の数々がもたらすのは、無傷な質問者とグロッキー気味の解答者。深淵なる虚無です。


 これ以外にも接客していて凄く感じるのが、周りの声に振り回されるタイプの人がかなり多いという現状。普段一緒にプレーしている強い人に奨められた、コーチに変えるよう指示された等々。そのお客様からヒアリングし、目の前に差し出された用具を見て感じる強烈な違和感。そもそも強い人、上級者、またそういった方々が務めるコーチという存在への誤解があります。実は彼ら、「根本的に用具知識に乏しい人たち」と断じてほぼ間違いありません。用具に執着せず強い(強くなった)方々です(念のため断っておきますが、決してディスってるのではありません。彼らは強いからこそ用具知識がない! と捉えるべきなのです)。


 教え子の上達を責任もって見守るコーチが用具まで指定するケースはまだ良いのですが、実力だけが取り柄の卓球仲間の気まぐれ発言などロクなもんじゃありません。今すぐ逃げてください。


 何を言っているのか分からなくなってきたので元に戻ります。とりあえず、正しい用具選びをする上で、必要不可欠なもの、まずは「自己分析」です。自分の実力と目指すプレーを明確にすること。目的あるいは優先順位(楽しくラリーする/とにかく勝ち優先/面白い用具を使いたいetc)を明確にする。これに尽きます。


 ちなみに、自身に見合った用具を最短距離で手にする方法もあります。それは「一つの用具と徹底的に長ぁーく向き合う」のです。合ってる合ってないの問題ではなく、時間の経過と共に、否が応にもヒトがモノに歩み寄ることでシンクロします。実は強い人に多いのがこのケース。


 とはいえ好きなものを選ぶという行為もある意味では大正解とも思っています。デザインがカッコイイ、憧れの選手が使ってるから等々、目的の優先順位が技術の向上や勝率至上主義でない場合は、いかなる理由でどのような用具を選んでも正解です。