【-第58回-答えられるうちが華】


 チャパリータです。新年あけましておめでとうございます。またお正月セールに足をお運びいただきましたお客様、誠にありがとうございました。2020年も本誌TAKZiNE、ならびにWRMを何卒よろしくお願い申し上げます。


 さて、新年一発目の今回はショップ店員としての変化と言いますか、知識や造詣、見識の深さによる「接客術の成長」についてお話したいと思います。なんとなーくショップ店員を続けてきましたが、年月を重ねたなりに意識せずとも変化は起きるものなんですね。触れたラバーやラケットの種類(経験値)はどうしたって増えますし、ラバー貼りの技術も日進月歩で進歩します。そんな中での私自身の接客スタイルはどうあるべきなのか? ぶっちゃけ最近の悩みでもあります。


 遡ること8年前、馬場店のスタッフとして駆け出しの頃。前職も卓球業界だったこと、もともと用具が好きだったこともありますが、接客業は別問題。店員としてはピッカピカの1年生です。基本的には未熟な部分しかありません。それでも自己評価では結構いい接客ができていたように思うんです。


 当時の接客というのは、基本的に自分の経験則に沿ったもの。ラバーやラケットも実際に打ってみて感じたことを、お客さんの要望とすり合わせてフィットする形で用具選定するといった流れ。いま振り返ってみても、やっぱりこれが理想の接客・アドバイザーだと思えてきます。


 では現在は? 単純に当時よりもラバーやラケットに対する理解自体は増しています。しかし、これが厄介なのです。用具への造詣が深くなったがゆえ、接客が一筋縄ではいかなくなってきているのです。例えば、「ブロックを安定させたいのですがどのようなラケットとラバーが良いですか?」という要望に対し、皆さんならどのような提案をしますか? この質問を受け取った私の頭の中では…《単純に弾まないというのは台に収まりやすい。つまり弾まない用具は安定すると言える。事実、大半の人がこの考えだ。しかし、弾む用具というは総じて回転影響を受け難い。その上、弾まない用具と違って返球が一定になる。つまり、弾む用具もまた安定していると言える。弾む用具も弾まない用具もそれぞれの安定性を備えている!》…という“2つの正論”が瞬時に思い浮かびます。


 他にも「このアンチラバー攻撃できますか?」という問いに至っては、「攻撃できないアンチってある? ってか粒も含めて攻撃できないラバーがあったら知りたいんですけど!」などと、とてつもなく天邪鬼な意見が頭をよぎります。「このラバー、下回転持ち上げやすいですか?」「このラバー飛びますか?」などなど、すべての問いに対して定番モノの対極に位置する用具にも対等な可能性を見出して自身が迷い込んでみたり、質問そのものにチクリと疑問を呈してしまうのです。


 これら“用具選びの真実”を理解してもらおうと躍起になって一から説明していたときもありました。しかし、お客さんが手っ取り早く得たい情報ではないし、なにより面倒臭いのであまり響いている様子もなく…。結局のところ、ルーキー店員時代「この組み合わせ相性良いですか?」→「最高でーす!!」と元気に即答していた自分自身を、何やら頼もしい存在に感じてしまう始末です。


 いつの世も、卓球仲間が勧めてくるラバー・ラケットがあります。あくまで“一個人が使ってみた、良かった、それを人に勧めてみた”というサンプルケースに過ぎず、犬も喰わないアドバイスです。それでも自信満々で勧めてくるラバーに宿る、謎の説得力。真実で語る理詰めよりも、清々しいまでに根拠なき自信が心の支えになることがある。(そういうものに  わたしはなりたい)